以下に掲載するFAXの内容は、実際に私が法務局に送った文面を一般公開用に少しリメイクし不必要な固有名詞を使わないようにしている。

225日(金)の夕方、法務局の方と電話で議論となり決着がつかなかったため、支局内でも検討してほしいとお願いしておいた案件である。

法律の専門家でもない私が法務局に対して法令解釈に誤りがあるのではないかとの指摘は、支局内でも問題にはされないのではないだろうかと考え、月曜日の朝には法務局宛のFAXを送ることを思いつき、早速、私の考えを文章化した。

文章が出来上がったので法務局に電話をした。すると私に対応してくださった職員の方が電話に出られ、局内で私の問題提起を協議した結果、これまでの法務局における法令解釈に誤りがあったこと認め、すでに私に対応したC市の戸籍係に電話をして、法務局としての新しい解釈を伝えられたとのこと。

私の方からは迅速な対応に感謝を申し上げた。また、後見人による死後事務としての戸籍調査については、同様な事例が各地で発生していることが懸念されるために、機会があれば他の法務局とも連携して正しい法令解釈の徹底お願いしたいと述べると、法務局としてもそのような方向で対処したいと言われた。

その結果、すでに法務局に対してFAXを送る必要性はなくなったが、せっかく書いた文章だったので「何か研修の材料にでもなればと思いFAXを送らせていただいてもよろしいか」と伝えたところ、担当者から構わないと言われたのでお送りした。

市役所の戸籍係や法務局の職員の方のアドバイスに従って「三月以内」に発行された登記事項証明書を取り直しさえすれば、何ごともなくスムーズに済んだかもしれない。しかしそこをちょっと拘ってみるところが、私らしさでもあり「みょうらく事務所」の個性でもある。               <令和4年3月5日>

 

☆☆以下が発信文☆☆

 

発信日:令和4年2月28日

 

宛  先

A地方法務局B支局 御中

 

FAX送信の目的

成年後見人による被後見人死亡後の戸籍請求と「三月以内」規定との関係についての、お尋ねと要望

 

FAX送信の本文

 

 

多忙中のところFAXをお送りすることをお許しください。

 

私は専門職の後見人等として10年余り活動している社会福祉士の明楽誠(みょうらく まこと)と申します。

私は先週の225日午後、C市役所の戸籍係の窓口において、死亡した被後見人の法定相続人の戸籍調査を行うために本人の兄にあたる方の戸籍の請求を行ったのですが、私が持参していた登記事項証明書の発行の日付が令和33月であったことを理由として戸籍の請求を却下されました。

 

私はその場で担当職員に対して理由を求めたところ、被後見人が死亡した後において後見人が法定相続人を調査するために戸籍を請求する際にも、戸籍法施行規則第十一條②におけるいわゆる「三月以内」規定が適用されるからだという内容の回答をされました。

それに対して私はその条項の規定は代理権を有する者に対する委任状についての規定であって、後見人の場合は被後見人の死亡と同時に代理権を喪失しており、いま私が戸籍を請求するのは本人の代理人としてではなく、後見人としての職務を遂行するために戸籍請求しているのですから、戸籍法施行規則の文言を持って請求を却下するのはおかしいのではないかと申し上げました。

そのために戸籍担当の職員は法務局に見解を尋ねてみると言われ電話をされました。そして電話をされた結果、戸籍係の職員からの回答は、法務局の見解もC市役所戸籍係りの法令解釈と同じであったと回答されました。

そこで私は係の職員の方に法務局で回答してくださった方を教えていただき、その場で私の方から法務局に電話をして担当職員の方と直接お話ししました。

おそらく30分以上にわたりお話をしましたが、担当職員の方はC市職員の回答が正しいこと繰り返し述べられました。時間が夕方の5時半にも及んだために真庭市

の職員に対し迷惑をかけることを避けるため、結局、必要な戸籍を受け取ることなく退所しました。

法務局の職員の方にも申し上げましたが、私はこれまでにいくつもの後見人としての死後事務を遂行するためにいろいろな市町村で法定相続人の戸籍を請求してきましたが、直接出向いた市町村において、後見人としての登記事項証明書の発行の日付が「三月以内」でないことを理由にして請求を却下された事例は1度もありませんでした。しかし、法務局の職員の方は、そのような各市町村の戸籍係の対応は法令を遵守していないのであって、今後いっそうの指導が必要だという回答をなされました。

しかしながら、法務局の職員の方のご見解は失礼ながら間違いだと思われます。民法の改正によって新しい成年後見制度がスタートしてすでに20年以上が経過していますが、正直に申し上げていまだに成年後見制度に関わる理解が当局の担当職員の方に充分浸透していないのではないかと思われます。

社会福祉士の立場で成年後見の仕事をしている者が、このようなことを法務局に対して申し上げる事は大変異例で失礼なことだと思いますが、「成年後見制度の利用の促進に関する法律」第8条第1項には関係機関や成年後見人等が「相互の緊密な連携の確保に努める」と明記されていることを踏まえて、家庭裁判所から成年後見人に選任された者として職務を全うするために、本日このような文章をお送りしています。

 

以下に記す内容は蛇足のような文章ですが、どうぞご一読下さい。

 

今から20年ほど前に成年後見制度をスタートさせる際、当初から戸籍請求権の問題が発生していたものと思われます。被後見人の死亡に伴う戸籍調査を後見人等であったものにさせるというのは、戸籍法施行規則第十一條②の規定解釈だけでは対応が難しかったものと思われます。そのために戸籍法第10条の2の規定が付け加えられたのではないですか?

成年後見人は本人死亡と同時に代理権は失い第三者になってしまいます。

成年後見等の申立において必要とされている戸籍は本人の全部事項証明書1通のみです。したがって裁判所が後見人等を選任しても裁判所の方は、推定相続人が誰であるかを把握していない場合もよくあるのです。

今回私がC市役所に戸籍を請求したのも、町長申立の事案であったため、私が被後見人死亡後に家庭裁判所に対して申立書類閲覧請求を行い、申立人が推定相続人をどこまで調べた上で申立てを行っているのかを確かめました。その調査に基づいて裁判所も把握していない法定相続人の戸籍と住所を明らかにするために真庭市役所に対しても戸籍は請求したわけです。(本件においては本人には第3位の相続人しか存在せず、法定相続人を確定するためには少なくとも4市町村に対して戸籍請求を行う必要が発生しています。)

成年後見制度の運用においては後見人等には、本人が死亡すれば2ヶ月以内に「終了報告書」を家裁に提出し、さらにその1ヶ月後までに法定相続人に遺産引き渡しを行い「財産の引き渡し報告書」を提出することまでが職務として課せられています。したがって後見人等は本人が死亡すれば、市町村に対して死亡届を提出(この際にもすでに後見人等は代理人ではありません)し、第三者として関係市町村に対して戸籍を請求する必要が発生するケースがしばしば発生します。

死亡届を提出する際にも登記事項証明書の提出を求められますが、その際にいわゆる「三月以内」の条文の文言を引き合いに出して死亡届の提出を拒否されたケース等もありません。

 

現在日本国内において成年後見人等の支援がなくては、国民としての権利を行使し義務を果たすことができない人たちが増大しており、専門職後見人だけでは対応が難しくなっており、今後「市民後見人」を育成し増やして被後見人等の権利を擁護していこうという社会的な要請があり、法務省も地方の各法務局も、すでにこの問題に取り組まれていることは私も承知しております。

 

私は、現行の戸籍法に記載されている被後見人等の死亡後の後見人等による死亡届や法定相続人調査のための戸籍請求には、「三月以内」規定を援用すべきではないと考えています。

繰り返して申し上げますが、法務省はこうした成年後見制度の運用も視野に入れて、戸籍法第10条の2や第87条②の規定を作成したのだと理解しております。

 

したがって既に代理権を失っている元後見人が、法定相続人調査の必要から市町村の戸籍係に戸籍を請求する場合には、戸籍法施行規則第十一條②の規定ではなく、戸籍法第10条の2の②あるいは③の規定に基づいて対応すべきだと思われます。

 

私たちは死後事務として戸籍調査を行う場合は、手元にある登記事項証明書を持参しています。しかし、それは、戸籍事務の迅速化のためであって、「第三者」による戸籍請求においては必須の添付書類とはみなすべきではないと思います。戸籍法第10条の2の規定は、請求者が身元を証明する書類として運転免許証等を提出し、戸籍係りの職員に対して第三者による請求が戸籍法第10条の2の②または③に基づく正当な理由があることを伝えることで足りることを想定しているものと解釈すべきではないでしょうか。

この文章には法務省のホームページに記載されている戸籍法第10条の2に関わるQ&Aも添付しておきます。ご多忙中とは存じますが、どうぞご一読下さり真摯に対応していただけることを希望いたします。

 

私がこのような文章を差し上げるのは、決して法務局の職員の方の法令解釈が間違っていることを批判するためのものではありません。あくまでも成年後見制度の適切な運用を促進していくための必要な業務改善の要望を、成年後見人に選任された者の仕事(ソーシャルアクション)として意見を申し上げているだけです。

 

私はもう一度、C市役所の戸籍係に戸籍を請求しようと考えています。その際に

再び市の職員が「法務局に尋ねてみます」と言われて法務局が今までと同じ回答されるようなことがないように希望いたします。

特別に込み入った難しい問題ではないと私は考えています。当局の迅速なご回答、及び、関係市町村(特にC市役所の戸籍係)への正しい法令解釈に基づくご指導を希望いたします。

 

添付資料

 

発 信 者

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社会福祉士 明楽 誠

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